株式会社いないいないばぁ

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2016-09-02

マーケッター必見!ゆるキャラがマーケティングに有効な理由とは?


最近では少し熱が冷めてきたものの、「ゆるキャラ」と言えば、何かのキャラクターが誰でも1つは頭に思い浮かぶのではないでしょうか。
それほど、私たちの生活に浸透したゆるキャラ。

例えば、千葉県船橋市の「ふなっしー」は非公式キャラクターながら全国に名を轟かせました。

その目的は地方自治体がそれぞれの地域に観光客を誘致するためであり、きわめて現実的な視点から作られています。

本記事では、全国の自治体がこぞって制作したゆるキャラの成り立ちやその裏に隠された制作者の狙いを明らかにし、マーケティング的観点からゆるキャラの効果性について考察します。

ゆるキャラとは?

「ゆるキャラ」は主に、ご当地シンボルとなりうる特徴的な見た目で、どこか間の抜けた形態をしています。

「ゆるキャラ」という言葉は、「ゆるゆるキャラクター」の略で、2004年に扶桑社とみうらじゅん氏により商標登録をされています。

「ゆるキャラ」ブームに火をつけたのが、滋賀県彦根市のマスコット・キャラクター「ひこにゃん」です。

彦根市が2007年に開催した「国宝・彦根城築城四百年祭」の時に、登場しました。

それ以来、「ひこにゃん」をはじめとするゆるキャラの人気は年々高まり、彦根市では毎年、「ご当地キャラ博」(旧「ゆるキャラまつり」)が開催されています。

また、2010年からは「ゆるキャラグランプリ」が開催されるほど、注目が集まっています。

ゆるキャラがもたらす経済効果はどれくらいか?

全国どこにいっても目にするようになった「ゆるキャラ」ですが、その目的は疲弊した地域経済を活性化するためです。

本記事では、2000以上存在する「ゆるキャラ」の中から、今や「ひこにゃん」を抑えて、筆頭株となった「くまモン」を例にその効果を見ていきます。

 

日本銀行熊本支店が行った調査によれば、「くまモン」が先述のゆるキャラグランプリで優勝した2011年11月以降の2年間で、くまモン利用商品の売り上げ及び観光客増加による経済波及効果は1,224億円に上ると試算されています。

▼くまモン利用商品の売り上げ及び観光客増加による経済波及効果

 

2011年11月〜12月

2012年

2013年1月

〜10月

合計

経済波及効果

7億円

508億円

729億円

1,224億円

引用:くまもんの経済効果(日本銀行熊本支店)
http://www3.boj.or.jp/kumamoto/tokubetsu_chosa/20131226kumamon.pdf

特に、2012年は508億円の経済効果をもたらしており、NHKの大河ドラマでもたらされる経済波及効果と比べても、もっとも大きかった2010年の龍馬伝と匹敵するほどの効果をもたらしています。平均的な経済効果である205億円の2倍以上の効果がありました。

NHK大河ドラマ等の経済波及効果(2003年以降)

 

大河ドラマ

府・県

経済波及効果(億円)

2003

武蔵 MUSASHI

山口

148

2004

新撰組!

京都

203

2005

義経

山口

179

2006

功名が辻

高知

135

2007

風林火山

長野

109

2008

篤姫

鹿児島

262

2009

天地人

新潟

204

2010

龍馬伝

高知

535

長崎

182

2011

江〜姫たちの戦国〜

滋賀

162

2012

平清盛

兵庫

150

2013

八重の桜

福島

113

2013

出雲大社遷宮

島根

285

平均値

205

引用:くまもんの経済効果(日本銀行熊本支店)
http://www3.boj.or.jp/kumamoto/tokubetsu_chosa/20131226kumamon.pdf

この調査を見れば、くまモンによる経済効果は評価に値するレベルであると、言えます。

しかし、表面的な戦略を真似したとしても、具体的な成果には結び付きにくいというのは、多くの自治体を見れば明らかです。

マーケティング戦略を考えるポジションにいる方が考えるべきなのは、「なぜ、“ゆるキャラ”は世の中に受け入れられているのか」、「どのように自社の商品やサービスの展開に生かせるか」という視点です。

次章では、キャラクター戦略論をベースにして、ゆるキャラの秘密を紐解いていきます。

 

マーケティング視点からみるゆるキャラのパワーとは?

シンボル化による精神的な結びつき

キャラクターという架空の人格的シンボルを作ることにより、生活者はただの商品よりも深く感情移入をし、精神的な絆を持ち始めます。

本当は「人と触れ合いたい」と思っていても、人間関係のわずらわしさや付き合いの経験不足から、人と触れ合うことを避けたくなるのが人間です。

そこで、動物やキャラクターといったものに、人間と触れ合う気持ちや感情を代替的に経験しようとするのです。

また、人の購買行動は脳(理性)によってなされるのではなく、心(感情)を発端として行われます。精神的な結び付きは機能面での結び付きよりも、より強固であり、購買活動に直結しています。

広告効果

多様化が進む現代において、人も企業も自治体もキャラクターを認識されなければ、存在が認知されることはありません。

認知させるための媒体として今もなお、広告という手段が主流になっています。

広告は興味のある人はもちろんのこと、興味のない人にとっても「自分ごと」として認識してもらうためのツールです。

その際、「誰が言うのか」によって、伝わり方や効果は違ってきます。

例えば、営業マンが一生懸命にプレゼンをするよりも、「ふなっしー」が登場して面白く紹介する方が、見る人の心のガードを下げ、より伝わる表現をすることができるのです。

また、携帯電話のメールよりLINEを使っている人が多いように、コミュニケーションのファスト化が進んでいることも大いに関係をしています。

数千字かけて熱心にプレゼンテーションをするよりも、一目でわかるキャラクターを用いた方が端的に伝えることも可能になります。

ブランディング効果

「他にはない自社独自の強みを作りたい」ほとんどの企業が考えるこの疑問にもゆるキャラは答えてくれます。

なぜなら、キャラクターは世界に1つしか存在せず、代替することができない独自のものになるからです。

認知が広がっていけば、「◯◯=▲▲」というようにブランドイメージとしての認知度も高めることが可能です。
ブランドが築かれると、生活者は他のものには見向きをすることなく、購買をしてくれるようになるのです。

ここではさらに、ブランドに対する理解を深めましょう。
ブランドは、「物理的価値」「情緒的価値」「超越論的・精神的価値」によって成立すると言われています。

物理的価値

ブランドが提供するものによる機能的な価値のことです。
「のどの渇きを潤す」「ビタミンを摂取することができる」などです。

情緒的価値

ブランドおよび、ブランドが提供するものが感情面や気持ちに与える価値のことです。
「飲むとスッキリする」「見るだけでリラックスできる」などです。

超越論的・精神的価値

ブランドが人生に与える価値のことです。
例えば、特定のブランドの服を着ることで「世界の貧しい子供を支援できる」「世界平和へ貢献できる」などです。

以上の3つがブランドを作るために必要な価値です。

ゆるキャラをマーケティングに活かすには?

ここまで、ゆるキャラがもたらす経済効果と、マーケティングの観点から見た有効性について見てきました。
ゆるキャラが企業や自治体の認知向上や特定商品の購買に大きく寄与することは事実です。

しかし、表面的な部分だけをすくいとって、キャラクターを作ったとしても成果が出ることはありません。
キャラクターが持つ機能、自社が伝えたいメッセージや理念を深いレベルで振り返り、生活者に伝わるカタチとは何なのか?を熟考した上で、戦略を立てなければなりません。

ゆるキャラありきではなく、戦略をベースとした時に最適なカタチとして「ゆるキャラ」が存在をするだけです。
目的と手段を混同しないように、戦略を立てるところからじっくり取り組んでいきましょう。

次回以降でも、ゆるキャラを軸にしたマーケティング戦略を考えていきます。

  

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