株式会社いないいないばぁ

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2016-11-23

顧客サービスを極め、Amazonに白旗を振らせた靴のネット通販会社Zappos(ザッポス)

顧客サービスを極め、Amazonに白旗を振らせた靴のネット通販会社Zappos(ザッポス)

あなたはネット通販で商品を選ぶとき、なにを基準に選んでいますか?

みんなが高い評価をしている商品がいいですよね。それに送料も無料がいいし、即日届くともっと嬉しい。

困ったときに電話してみたことはありますか?

どこに連絡すればいいか分かりにくいサイトも多いですよね。実際の対応もたらい回しにされたり、解決するのが遅くてイライラ。

「商品の質」「購入までのスムーズさ」まではどこで買っても納得することが増えましたが、その企業に愛着を感じることなんてありますか?

有名なネット通販会社Amazonでも、多くの商品に評価が書かれていたり、送料を無料にしてみたりと、努力は認めるのですが、「大好き?」って聞かれると答えに詰まります。

じつは今、アメリカのネット通販で「大好き!」って答える人が急激に増えているサイトがあります。

zappos(ザッポス)(Robert Scoble/Flickr)

それが『Zappos.com』。

あのAmazonが露骨なやり方で勝負を挑んだのに、全く敵わなかった靴のネット通販会社です。

売上0円からたった10年で1000億円 を売り上げ、Amazonが泣く泣く800億円出して買収しました。

しかも、ただ吸収されるのではなく、独自の文化を維持したまま、独立した経営を行うことも保証したうえで、傘下に入るという破格の条件です。

Zapposが勝った最大の理由は、「Zapposが大好き」と答える人が多いから。

どうやって、Zapposはそんな熱狂的なファンを増やし続けているのでしょうか。

Amazon傘下に入ってからも順調に成長を続け、靴以外にも扱う商品を増やしながら、15年目には3000億円を売り上げる規模になっています。

そんな驚異的なほど愛されている、Zapposのビジネスモデルを見て行きましょう。

2人の男の失敗と願望から生まれたZappos(ザッポス)

トニー・シェイ(Silicon Prairie News/Flickr)

Zapposは1999年、ニック・スウィンマーンによって創業。投資ファンドをしていたトニー・シェイに出資を依頼したことから、トニーが経営に参加するようになりました。

このトニー・シェイは凄腕の起業家で、ニックと会う直前には、たった2年で作った広告会社を300億円でマイクロソフトに売却したところでした。

当時は、「試し履きもできない靴のネット販売は成功しない」と言われていました。

しかし、「自分ならどうしてもネットで靴が買いたい」と考えていたニックは、試しにホームページを作り、近所の靴屋に売られている靴を掲載してみました。

すると予想通り注文が相次ぎ、流行ると確信したニックは、本格的な事業化に踏み切ろうと考えます。ただ、ビジネスに関してなんの知識も資金も無かったため、トニーが始めたばかりの投資ファンドに応募したのでした。

さて、トニーの手腕で成長していったZapposですが、実はトニーは前の広告会社で1つの失敗をしていました。

それは企業文化の崩壊です。

寝る間も惜しんで働くことで利益は出せたものの、何の働き甲斐もない、心だけが疲弊していく企業になってしまったのでした。

「企業文化」を一つのテーマとして運営したことで、ひとたび経営が軌道に乗ると類を見ないほどの爆発的な人気を見せ始めました。

大好きだと言ってくれるファンがつく理由。それは圧倒的なまでの「顧客サービス」にあります。

リピート率75%の圧倒的な顧客サービス

zapposの箱(EricaJoy/Flickr)

商品は購入後365日間は返品可能で「送料・返送料無料」。

注文後4日以内に到着すると記載されていますが、実際にはほとんど翌日到着。早ければ8時間で届けることも可能。しかも返品を前提にサイズ違いや色違いなど、複数注文することを推奨しています。

商品は全て実在庫で90万品番以上をそろえています。

中でも、24時間・年中無休の電話によるカスタマーサービスには多大な力を注いでいます。

他社のカスタマーサービスがいかに効率よく電話対応を終わらせるかを評価している一方で、Zapposでは、いかに顧客を満足させられるかに重きを置いています。

具体的には・・・

・自社に在庫がない場合、少なくとも3社のライバル会社に在庫がないかを調べて教える。
・従業員の評価基準は、「顧客を満足させるために『普通』を超越するサービスを提供できたか否か」という点にあり、通話が長時間になることもいとわない。(最長10時間超の記録あり)
・マニュアルは一切なく、返品や返金処理、特別な配送手配やクーポン発行まで、それぞれの社員の判断に一任されている。
・電話対応について専門チームがモニターしており改善や対処、顧客を驚嘆させるチャンスなどのコーチングを行う。

などがあります。

こんなエピソードがありました。

ある女性が病床の母親のためにZapposで靴を買いました。しかし残念なことに、その母親は亡くなってしまいます。

Zapposにその旨を伝え、返品を申し出たところ、本来、その女性が集配所まで持ち込まなければいけないルールにも関わらず、「自宅まで集荷サービスを手配します、ご心配なく」とZapposより連絡がありました。

さらに翌日には、色鮮やかなお悔やみの花束とメッセージカードが届けられたそうです。

心温まるサービスを積み重ねた結果、平均的なリピート率30%をはるかに上回る75%のリピーターを掴むようになり、クチコミによってほとんどコストをかけずに新規開拓までなされているのです。

2007年、大企業Amazonが露骨なやり方でZapposに戦いを挑みました。Amazonが立ち上げた衣類や靴の通販サイト「Endless.com」での商品の表示。

『Clarks Desert Boots(商品名)』
Zappos.com 95.00ドル
Endless.com 84.95ドル

なんと、Endless.comでの価格欄にわざわざZapposの価格まで載せはじめたのです。

しかし、結果はお伝えしたとおり、Endless.comは振るわず、2010年に800億円もの金額で、傘下に収めるしかなくなったのでした。

従業員の幸せを考えた10の社訓

Notebook with Toolls and Notes about Core Values,concept

Zapposの戦略は圧倒的な顧客サービスによる「リピーターの維持」「クチコミ戦略」です。

しかしトップがいくら言ったとしても、従業員の誰もが「お客様を満足させる対応」をできるわけではないですよね。

では、Zapposはいかにして従業員たちに、お客様を満足させるような対応を促しているのでしょうか。

Zapposが掲げているコア・バリュー(社訓)は、以下の10項目あります。

1.サービスを通して「ワオ!」という驚きの体験を届ける
2.変化を受け入れ、変化を推進する
3.楽しさとちょっと変なものを創造する
4.冒険好きで、創造的で、オープン・マインドであれ
5.成長と学びを追求する
6.コミュニケーションにより、オープンで誠実な人間関係を築く
7.ポジティブなチームとファミリー精神を築く
8.より少ないものからより多くの成果を
9.情熱と強い意志を持て
10.謙虚であれ

探せば見つかりそうな内容ばかりですが、これらすべてが全従業員の無意識のレベルに落とし込まれているとしたら、すごいことですよね。

このコア・バリューが社員に根付いていると言える理由の1つに、マニュアルなしの電話対応があります。

返金やクーポンの発行まで、本当の意味で社員に任せてしまえる企業がいったい何社あるでしょうか。

Zapposでは面接の段階でスキルとは別に、専門の部署がZapposのコア・バリューに合うかチェックしています。さらに研修1週目の終わりには、20万円で研修をやめるオプションをちらつかせます。

ここでお金を受け取って止めてしまうような従業員は、文化に合わないと判断します。実際に採用されても、コア・バリューに反する従業員はすぐに解雇されてしまいます。

ザッポスの社内(ShashiBellamkonda/Flickr)

アメリカの企業文化では珍しく、仕事終わりにも社員同士が交流することを推奨していたり、社員がTwitterでつぶやいた内容を悪口も含めて、すべて自社サイトで紹介してしまったりもします。

毎月、社員一人ひとりが同僚を褒めるために50ドルを提供する「同僚ボーナス賞」という企画があったり、年に1度、各社員が同僚10~15人にコア・バリューに適しているか評価する制度もあります。一人あたり20分もかかる内容だそうです。

従業員の服装が自由なのはもちろんのこと、自分のデスクを好きなように飾っていいことになっています。

条件は「周りを楽しませること」

最近の試みでは全社員の肩書を無くし、より横のつながりを意識できる環境を作ろうとしているようです。

どうやらZapposでは「顧客サービス」以上に「従業員の働きがいや満足」に重きを置いているようです。

トニーが前の会社で失敗した経験から、企業文化に重点を置き、それに沿う人だけを雇い入れる。従業員たちの声には常に耳を傾け、些細な疑問にも答える。

楽しませ、やりがいを感じる仕組みはどんどん取り入れ、何より社員全員を信頼する。

その徹底と積み重ねによって、採用された全従業員が持っている「コア・バリュー」がより強化されていく。

以下はトニー・シェイの言葉です。

「私たちの最優先事項は、顧客サービスではなく企業文化なのです。優れた顧客サービスを提供することなどは自然についてくるものだからです。私たちはそう信じています。」

そして最後にこう言いました。

「この話を通じ、皆さんが顧客との接し方をより良いものとし、顧客をより満足させられるよう顧客サービスに真剣に力を入れようと思ってくださったり、従業員がより幸せになれるよう、自社のコア・バリューと文化の構築に力を入れようと思ってくださったり、幸福学をもっと学び、幸せになろうと思ってくださったりしたなら私は、世界に幸せを届けるというZapposの崇高な目的の達成に貢献できました。ありがとう。」

採用試験の競争率が100倍になるのも納得です。

以上、Zapposのビジネスモデルについてお伝えしました。

顧客満足度の高さは、従業員満足度の高さから生まれる。

ぜひ参考にしてみてください。

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ぜひ、様々な企業のビジネスモデルを理解し、ビジネスをよりよいものにしてみてはいかがでしょうか。

  

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