1年間で服が40億着作られ、26億着は捨てられていることをご存知ですか。
ファッション業界では、コストがかかる「MADE IN JAPAN」の服は近年衰退の一途をたどっており、30年前に比べ日本製のものは10分の1となる約3%にまでなっています。
安くて良いものが流行っているファッション業界。
そんな中、工場にまで訪れるファンを生み出し、創業から4年で年商10億円をたたきだすブランドがあります。
日本のアパレル工場で製造した商品を直接販売する「ファクトリエ」。
今日は世界に誇る「MADE IN JAPAN」ブランドに復活の狼煙を上げた「ファクトリエ」成功の秘密に迫ってみたいと思います。
目次
モノづくり日本に本物のブランドを
ファクトリエは2012年に創業した、日本発・工場直結のファッションブランドです。
創業者は山田敏夫氏。
きっかけは彼が大学生の頃、留学先のフランスでグッチのバイトをしていた時、現地の人に「日本には本物のブランドが無い」と言われたことに始まります。
本物のブランド…
それは、歴史あるハイブランドと言われているメーカーはすべてモノ作りからスタートしています。
例えば、エルメスは元々馬具を作っていたし、フェンディは毛皮工房からのスタート、ルイヴィトンは旅行鞄の専門店でした。
そこで彼は、日本で「本物のブランド」をつくると心に決め、ファクトリエを創業します。
ファクトリエの商品は、山田氏が自分の足で探した「本物」を作っている日本の工場に製品を依頼。工場直販というカタチをとって顧客に提供しています。
販売はネットのみ。創業以来4年間広告費ゼロ。
にもかかわらず、年商は1年目の1,500万円から2016年は6,666%アップの10億円へ成長しました。
ファクトリエが短期間でこれだけの成功したのには、3つの大きな特徴がありました。
その1;顧客を引き付けるストーリーのある商品
(Factelier (ファクトリエ) / FLEXJAPAN(フレックスジャパン))
あるお客さんは、「商品を買っているというより、ストーリーを買ってるんです」と言います。
そう言わせるほどに、ファクトリエの商品にはストーリーが詰まっています。そして、商品製作過程に魅力があります。
商品購入ページを見るとわかりますが、ファクトリエの商品ページには、製作者の顔と名前、製造過程の写真とコメントがあります。
製作者である工場の人たちの想いやこだわりをあえて載せています。
例えば、男性物オーダーシャツの場合。
・ネクタイを外してもきまるように襟元にこだわる
・通常プラスチックであるところを、あえて高級貝ボタンにしている
・片手でも付け外しがしやすくなるよう、ボタン付けに工夫している
・腕が回しやすく、ストレスを感じさせない製法
など、1つの商品を作るのにこだわりを持って制作しており、そのこだわりがお客さんを魅了しています。
他にも、他社にないファクトリエ独自のサービスがあります。
ネットでのみ商品を販売しているファッションサイトは、簡単にどこでも購入ができますが、商品に触れ、素材などを確かめることができない、というデメリットもあります。
しかしファクトリエは、ネット販売のみのファッションサイトにも関わらず、銀座などに商品を確認するためのフィッティングルームを用意。
そこで直に商品に触れ、確認することができる仕組みを作っているのです。
さらに、ファクトリエのスタッフから商品のこだわりポイントや、制作秘話を聞くこともできるのです。
お客さんは、その商品に隠れている生産者想いや商品ができるまでのストーリーに魅せられ、その品質の高さを実感することで、商品に感動し、ファンとなり、リピーターになる。
その結果、ファクトリエが行っている工場見学には、30名の定員に対し100名の応募がきて、キャンセル待ちになるという人気。
このツアーでは、工場が誇る技術力を実際に触れることができ、生産者の想いを知ることができる内容となっています。
片道3時間以上かけて見学に来る人もいるほど、ファクトリエには人を惹きつける魅力があります。
その2;ハイブランドクオリティーの商品がお値打ち価格で買える
ファクトリエが扱う「MADE IN JAPAN」の商品は、海外のハイブランドに商品を卸している、高い技術力を持つ工場が製作するものばかりです。
「MADE IN JAPAN」の魅力は、
・高い技術力
・着心地の良さ
・目に見えない処までにこだわるきめ細やかな配慮
という点にあります。
ファクトリエが掲げているのは、「お客様には従来の“3分の1”の価格で最高の商品を」。
海外のハイブランドに卸している工場が作る。しかも、クオリティが高い。
それなのに、価格はハイブランドを買うよりも抑えられる。
それが、「良いものを長く使いたい」と願っている人たちの心を惹きつけました。
ファクトリエの商品は、使い手を考えたきめ細やかな配慮がわかるものばかり。
1度利用したお客さんは、商品に対して価格以上の価値を感じ、ファンになってしまうのです。
その3;プライドを持って商品作りをする仕組み
工場の人たちは、自分たちの商品に誇りをもって作っています。
実は、生産者がさらに良いものを作りたくなる仕組みが、ファクトリエにはあるのです。
通常、ハイブランドなどの商品を製作した際、工場の取り分は2割と言われています。
商品の値段も決まっており、取り分が決められている中でやりくりをするため、赤字覚悟での製造でした。
そこをファクトリエは工場の取り分を5割にしました。
驚きなのが、商品の価格設定を工場が決められるところにあります。
そうすることで、工場側はどうしたらお客さんに喜んでもらえる商品になるか、値段・デザイン・製法・シルエットを今まで以上に考えるきっかけになるのです。
さらに工場がプライドを持って商品を製作できるように、ファクトリエの商品タグには「Factoler BY工場名」を記載しています。
これがあることで、生産者である工場は自分たちの商品に、責任とプライドが生まれました。
技術や手間を惜しまず商品を製作することで、より品質の高い商品が消費者にリーズナブルに提供することができるのです。
まとめ
ファクトリエは、ファッション業界で3%にまで衰退する「MADE IN JAPAN」を作り出している工場から、本物の商品を発掘し、ブランドとして世の中に提供することに成功しました。
創業者である山田氏の目で選んだ確かな商品たち。
商品ができるまでの生産者の想いに感動した消費者が、ストーリーのある商品を購入し、リピーターとなります。
何よりもファクトリエの凄いところは、生産者である工場にも決定権を与えたことです。
この方法で、生産者にも商品に対しての責任が生まれ、より良いものが作られるという好循環を作り出すことができました。
あなたのビジネス役立てるヒントがあったら、ぜひ参考にしてみてくださいね。