株式会社いないいないばぁ

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2017-01-26

150年超でも廃れない老舗ブランド「千疋屋」 が仕掛けるマーケティング

  • 書いた人: KazKaz
150年超でも廃れない老舗ブランド「千疋屋」 が仕掛けるマーケティング
  • 書いた人: KazKaz

味・形ともに最高品質のメロンが1個、1万5千円。
『千疋屋のメロン』と言えば、最高級メロンの代名詞ともいえます。

千疋屋のフルーツを購入する目的は、9割が贈答用。
その売上の2割をマスクメロンが占めています。

高級フルーツを売っているイメージが強い千疋屋ですが、今、フルーツを加工した洋菓子の売上全体が8割を占めています。

しかも、買いやすい価格帯に設定にして、若者の間でも人気上昇中
敷居を下げたのに、高級なブランドイメージは一切崩れていません。

むしろ「確たる地位が築けた」と言っています。

「老舗」「高級感」を維持しつつ、変わり続ける「千疋屋総本店」の取り組みを見ていきたいと思います。

主力商品を変える!大胆な改革

千疋屋のケーキ

千疋屋総本店は、日本橋に本店を構える1834年から続く老舗で、幕府御用達にもなったことがあります。
メロンだけでなく、旬のフルーツを最高の状態で取り揃えており、贈答品として重宝されてきました。

1998年、そんな千疋屋の6代目に就任した大島博社長は、調査で、20~30代の多くの女性が「千疋屋のことを知らない」ことを知ります。

また知っていても、若い世代にとっては「古くさい」「高い」というネガティブな印象が多かったのです。

そこで、大島社長は、若い世代をターゲットにした商品に乗り出します。

目標は、若い世代に、「ワンランク上の豊かさ」を提供することでした。

まずは古くさいイメージを取り払うためブランドイメージの刷新を図ります。

ブランドロゴや包装紙、容器のデザイン、そして新しい拠点となった店内のイメージも、すべて「ワンランク上の豊かさ」というコンセプトで統一。

商品に関しても、改革を行います。

千疋屋のフルーツは、味・形ともに国内の最高級フルーツを取り扱っているため、例えば、バナナが1本324円。フルーツの詰め合わせが20,000円を超えるものも多くあります。

これでは、ターゲットとしているなかなか若い世代が買えない価格帯ですよね。

そこで、
最高品質なフルーツをふんだんに使った洋菓子を考案。

フルーツサンドを始め、1個数百円のケーキやゼリー、洋菓子の詰め合わせなどフルーツを使った、若者層が買いやすい価格帯の商品を作り出しました。

フルーツに強いこだわりを持つ千疋屋が作り出す「フルーツを使った高級スイーツ」が、千疋屋のことを知らなかった若い世代の心をつかみました。

千疋屋初の洋菓子専門店も開店。羽田空港店内で取り扱う商品は、フルーツ以外の加工品のみ。
気づけば加工品が全体の8割もの売上を叩き出すほどになっていました。

加工品にも力を入れたことで、贈答品としての高級フルーツ店から、フルーツを使った洋菓子店へと大きく変貌したのです。

商売の根底を覆すような革新でしたが、なぜここまで大胆に行動できたのでしょうか。

革新の原点は「顧客ニーズ」

千疋屋のイノベーション

洋菓子商品を取り扱い始める際、社内からのたくさんの反発もありました。

しかし、この大胆な千疋屋の革新は、創業して183年、代が変わる約30年ごとに行われている千疋屋の歴史そのものだったのです。

1834年、現在の埼玉県越谷市千疋で誕生した千疋屋は、初代の野菜・果物の安売りに始まりました。

2代目は高級品を扱い幕府御用達。
3代目には当時ほとんどなかった外国産の果物の輸入に力を入れ、果物専門店を設立。

4代目には、日本初のフルーツパーラーを創業。
千疋屋農場を創設。品種改良にも力を入れます。

5代目は高度経済成長の波に乗り、贈答品に力点を置きました。

老舗と言われる千疋屋の、どの代をとっても変化の連続でした。
時代に適応し、イノベーションを起こし、存続し続けられたからこそ老舗になれたとも言えます。

そして6代目が目指したのは「個人需要」。
バブル崩壊で法人需要が低迷したことを受けた動きです。

狙い通り、最近一番売上が伸びているフルーツを扱わない羽田空港店は、東京土産として認知度が高まっています。

千疋屋が長い歴史を築いていくために行われている、約30年に1度の改革。
これには実は、各代に共通する成功するためのイノベーションルールが存在しました。

3代目が明文化した店是は
「一客、二店、三己」

一番にお客様のニーズに対応しサービスを提供すること。
次にお店の繁栄や従業員を大切にし、自分のことは後回しにせよ、という意味です。

老舗においても、守るべきものは店でもプライドでもなくお客様だということです。

今では、顧客満足度などお客様を大切に考える企業が多いですが、
千疋屋は1800年代後半から今まで、お客様のニーズを一番に考えることで成長をしてきたのです。

常識にとらわれない商品探し

マンゴーの栽培

6代目大島社長が一番ワクワクするのは、
「新しいものを驚きをもってお客様に提供できるとき」だと言います。

千疋屋は、現状に満足せず、常に新しいものを追い求めています。

そんな大島社長が今注目しているのが、
「夏の高級フルーツであるマンゴーを冬に販売する方法」。

産学共同で進められているプロジェクトに、コストをかけずに冬夏転換させるビニールハウスの発明があります。

このプロジェクトが行われている、北海道に設置されたビニールハウスは、温泉水を使用することで冬は暖かく、冬の雪を使い夏は涼しくなるよう設計されています。

そんな特殊なハウスで栽培されているのが、最高級フルーツの宮崎県産マンゴーの苗。

マンゴーは通常、夏に実がなるフルーツです。
それを、北海道のビニールハウスで自然エネルギーを使用しながら、冬に実をつけるマンゴーを作る。しかも最高品質。

フルーツの品質だけでなく、そんな作成過程にも大島社長は「マンゴーを歳暮のラインナップに含める」ことのテスト販売をすでに開始しています。

現状維持に努めるのではなく、革新をもってお客様を新しいものを提供する。
日本のフルーツの常識を変えていく商品の提供。

これこそが、まさに「老舗フルーツ屋」として千疋屋が長く愛され続けてきた理由なのです。

まとめ

千疋屋のケーキ(hirotomo t / Flickr)

老舗フルーツ専門店「千疋屋」は、実は劇的なまでのイノベーション文化を持つ企業です。
フルーツの老舗から、若者へ認知を広げるために、洋菓子の販売へ事業を展開。

各代が店やプライドよりも、時代に合わせたお客様のニーズを最優先に考えてきたからこそ、老舗と呼ばれるほどに歴史のある会社として続いてきたのです。

今までの成功事例はこれからの成功事例ではない。新たな商品を追求する探究心。
お客様とともに革新することこそ、企業としての繁栄につながるのではないでしょうか。

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