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1万円のウンチしおり
1万円のウンチのしおりが123人に売れた…。
という事実を、あなたは信じることができますか?
しかもその123人は、罰ゲームで買わされたわけでも、すごく裕福で退屈していたわけでもありません。
喜んでウンチのしおりに自ら1万円を投じたのです。
ウソのような話ですが、実際にあったことなんです。
この「ウンチのしおり」を仕掛けたのは、クラウドファンディングサービス「Readyfor」。
クラウドファンディングとは、インターネットを通じて不特定多数の人から資金を集める仕組みです。
Readyforは、やりたいことがある、資金がない実行者の「プロジェクト」をサイト上で紹介をして、支援者をつのります。
「プロジェクト」支援には、目標金額とプロジェクト日数を決めます。
そして、無事に資金が目標金額に到達したら実行者に資金がわたされ、プロジェクトが遂行されるのです。
Readyforは手数料として集まった資金の17%を得る仕組み。
支援者は資金を支援する代わりに、プロジェクトに参加したお礼として「リターン」と呼ばれる粗品を受取ります。
最初に紹介したしおりは、コアラの高額なエサ代に困った東山動植物園の「コアラ応援プロジェクト」に1万円の支援をしてくれた人へのリターンでした。
ほんのりユーカリのかおるコアラのウンチでできた品だったのです。
さて、
お礼とはいえ、ウンチしおりの市場価格はどう考えても1万円にはなりませんよね。
いったいなぜ123人もが1万円を投じたのか?
今日はReadyforのプロジェクトに人々が支援したくなる3つの仕組みをお話します。
14万人の夢を叶えるサイト
Readyforは2011年創業、5年間強の間に5500件以上のプロジェクトに携わり、のべ23万人から33億円の支援金を集めています。
プロジェクトの内容は、意図がハッキリしており、目的が明確であれば、企業や団体だけでなく個人の参加も認められています。
14万人もの人がお金を払う一つ目の理由は何なのか。
それは、プロジェクトに参加することにより、まるで自分の夢が叶うように思うから。
サイトには、支援者が応援したくなるような仕組みがちりばめられています。
実は各プロジェクトには、キュレーターと呼ばれる人がプロジェクトを立ち上げる担当者として付きます。
このキュレーターの主な役割は4つ
1.現場を見て回り状況把握
2.支援を集めるストーリーを見つける
3.プロジェクトの実現性を見極める
4.興味を引くリターンを考える
例えば、水族館復活の場合、3万円寄付すると1つ水槽の命名権が与えられる。など。
キュレーターがプロジェクトを立ち上げ、審査に通ったもののみがサイトに掲載されます。
支援者がサイトをみれば3000件ものプロジェクトが掲載されており、
・電車を復活させたい
・医療のために飛行機をとばしたい、
・自分の本を出版したい
という公的なものから私的なものまで。さまざまな想いのプロジェクトがあります。
人々はサイトを見て、たくさんのプロジェクトの中から、想いやストーリーに共感できるものを見つけ、自分の夢や想いを重ねることができるのです。
支援を実感して、喜びを感じられる
人々がプロジェクトにお金をはらう2つ目の理由は、お金を払うことで誰かの助けになることができるから。
Readyfor の創業者;米良はるか氏は、7年前大学4年の時にバンクーバーで行われたパラリンピックのスキー代表監督と話す機会がりました。
その時「金メダルを目指せるだけの実力はあるが、スキーで大切なワックスを買うお金がない」ことを聞く。
そこで、スキー選手のために協力したいと、選手たちのワックス代をネットで募るサイトを立ち上げ、100万円を集めることに成功。
ワックス代をパラリンピックの選手たちにプレゼントすることができたのです。
なんと、選手たちの成績は“金メダル2個・銀メダル1個”の嬉しい結果もついてきました。
その時、米良氏は自分の夢でなくても人を「支援を実感すれば大きな喜びがある」ことに気付いたのです。
そこで米良氏は、ネット上でも楽しませる仕組みがあれば大きなお金を動かせる、何かを応援するお金の流れを生んでいけるのではないか…と考えました。
Readyforのサイトでは、プロジェクトにお金をだすだけで、自分の想いと重なる人たちを応援することができます。
寄付をすることで、共感できる、誰かの力になれる、人の幸せに関与することができるのです。
「人とつながりたい」、「人を幸せにしたい」というと望む人の気持ちを、簡単に実現できる仕組みを作り上げることに成功しました。
支援者に実際に会える
さらにお金を払いたくなる3つめの理由は、「本当につながれたんだな」と実感できるから。
Readyfor が重視しているのは支援される側とされた側が「ツナガレタ」と実感できる工夫にある。
せっかくプロジェクトを支援しても、
自分は関われたのだ、
つながれたのだ、
貢献できたのだ、
と実感できなかったらどう思いますか?
きっとさみしい気持ちになるか、支援したことも忘れてしまうでしょう。
そこで、Readyforのプロジェクトには「リターン」というものがあります。
これは先ほどのコアラのウンチしおりのようなもの。
プロジェクトに対する支援金が目標金額を達成したときに、お礼として支援者に送られるものです。
リターンとしては、発展途上国に支援するプロジェクトでは、現地の子供たちからお礼の手紙や、ビデオレターと言ったものから、美術館の一日館長まで。
リターンがあることで支援者が支援を実感できる仕組みが整っています。
さらに年に一度、支援する側とされる側の懇親会も行われている。
実際に会って話すことで、より繋がりが実感出来き、新たな支援の輪を広げています。
こうした取り組みで、支援者はリターンをモノ自体としてではなく、自分が関われたという実感や、繋がりをもてたという実感が大切な価値として感じることができるのです。
まとめ
5年間で33億円もの資金を集めるReadyfor。
23万人がお金を通じて一緒にプロジェクトを実感できる体験ができるから。
そのために、支援する側と支援される側をつなぐ仕組みがReadyforには隠されている。
支援者が、応援したことが実感できるリターン。
支援を受けるにも、なぜやりたいかを実感できるストーリーがプロジェクトには隠されてる。
それを形にしていくキュレーターの存在も大きい。
知らない人同士が、インターネットを通じ、繋がることで喜び、幸せを感じられる仕組みが整っているから、支援者は人の夢に応援したくなるのではないでしょうか。
あなたのビジネスの参考になればと思います。