こんにちは。よしたくです!
今日はマーケティング用語として、普段からよく聞く「マーケットイン」「プロダクトアウト」についてお話ししたいと思います。
ちなみに、どちらを選択するのが最善なのかは、その商品や資金・方向性によってありけりです。
ですので、「マーケットイン」と「プロダクトアウト」それぞれの性質をよく理解した上で、他の商品はどちらなのか考えながら、「自社の商品はマーケットイン、プロダクトアウトどちらが良いのか?」を選択しましょう。
余談ですが、いつも「マーケットイン」をはじめに持ってくるのか、「プロダクトアウト」をはじめに持ってくるのか、どっちが正解なんでしょうか?笑
ということで、解説を始めます。
目次
マーケットインとは?
マーケットインとは「市場や買い手の立場に立ち、意見やニーズを調査し、製品開発を行うこと」をいいます。一言で表すと「マーケット優先」ということです。
例えば、新しい車を開発することになりました。その際に、「いままで我が社ではスポーツカーばかりを作っていたが、なかなか売れなくなってしまった。お客さんはどのような車を求めているのか?」
このように考え、自社の車を過去に購入してくれた人たちにアンケートを行い、そのアンケートの結果を基に製品開発をすることになりました。
これは立派な「マーケットイン」の概念になります。
マーケットインでは、いかに顧客からの意見を汲み取り、ニーズとのブレをなくした製品を開発できるかが重要なポイントです。
マーケットインのメリット
マーケットインのメリットは、以下の3点になります。
1.顧客のニーズを的確に満たすことができる
2.売上の予測がプロダクトアウトよりもしやすい
3.製品開発のリスクや期間が押さえられる
それぞれ説明していきます。
顧客のニーズを的確に満たすことができる
自社がターゲットにしている人たちへ事前にニーズを調査しているため、製品を提供する際に、その人たちの顧客満足を確実に満たすことができます。
車の開発例でいうと、お客さんから「燃費の良いスポーツカーがほしい」という声が多く集まったとします。
この場合、同様の製品を開発したら、その人たちの満足度はすごく高くなり、今後もリピーターとしてこの会社の車を買いたいとなるでしょう。
ちなみに、リピーターの獲得については「【リピーター獲得】お客さんをリピーターにする7つの方法」に詳しく書いています。
売上の予測がプロダクトアウトよりもしやすい
マーケットインでは、市場調査を行いすでにニーズを把握しているため、売上の予測は立てやすくなります。
もちろん、調査で集まったニーズ通りの製品を開発しても、金額設定や販売タイミングなどにより購入されないリスクは少なからずあります。
しかしながら、ニーズが全くわからない製品を作るよりは、確実に購入してくれる可能性は高いため、売上の予測はかなり正確にできるでしょう。
製品開発のリスクや期間が押さえられる
マーケットインでは、ニーズがそのまま製品開発の目的になります。
車の開発例では、「燃費の良いスポーツカー」が開発での大きな目的です。
この目的をもとに、「燃費の良い=1Lあたり12km/h」などと、具体的な目標を立てることはとても容易です。
目標設定が容易なことから、実際に開発するまでにかかる企画の期間も短くすることができ、素早くお客さんへ製品を届けることができるようになります。
これによって、販売タイミングが遅れたことによる購入機会の損失も抑えられます。
マーケットインのデメリット
マーケットインのデメリットは、以下の3点になります。
1.ヒットする商品が生まれにくい
2.競合他社にマネされやすい
3.自社のポジショニングがブレやすい
それぞれ説明していきます。
ヒットする商品が生まれにくい
マーケットインでは、新しい技術やいままでと一味違う製品を作るよりも、「ニーズを満たす」ことが重要視されます。
そのため、ある程度は売れるけど「大ヒット!」とまで話題になる商品はなかなか生まれません。
しかしながら、車の開発例のように「燃費の良いスポーツカー」を開発する中で「新しい技術が生まれた」場合は、ヒットにつながる可能性もあります。
マーケットインの考え方で、さらにヒットさせる製品を開発するためには、より自社の強みや開発力とのすり合わせが必要かもしれません。
競合他社にマネされやすい
顧客のニーズを満たすためには必要な技術を持つ企業が、自社だけだとは限りません。
ニーズをうまく汲み取ったマーケットインの商品は、すぐに競合他社からも同様の商品が開発されます。
場合によっては二番煎じとして出された製品の方が、より世間に受け入れられる可能性もあります。
ただし、ここで重要なのがマーケットインならではの「調査・分析力」ではないでしょうか。
この「調査・分析力」があれば、新製品の開発や、すでに販売した製品をさらに改善し、より多くのニーズを満たすことができるようになります。
ちなみに、改善のプロセスはPDCAに関するこちらの記事「【3分でわかる】マーケティングのPDCA」が参考になります。
自社のポジショニングがブレやすい
マーケットインでは、「自社の強み」よりも「マーケットのニーズ」を優先するため、いままで企業が担っていたポジションから、知らないうちにずれた製品を開発するようになるかもしれません。
特にブランド力がある企業になるほど、このポジショニングのずれは、いままでリピートしてくれたお客さんを逃し、損失につながる場合もあります。
マーケットインで製品開発を行う場合は、他のデメリットにも当てはまりますが、必ず自社の強みや技術力とすり合わせながら、開発を進めていきましょう。
なお、ポジショニングについては「ポジショニング戦略がビジネスを生まれ変わらせる!」の記事をごらんください。
プロダクトアウトとは?
プロダクトアウトとは「自社の技術力や方向性を基に、企画・立案を行い、製品開発を行うこと」をいいます。
マーケットインで例に出した車の例では、「いままで我が社ではスポーツカーばかりを作っていたが、なかなか売れなくなってしまった。」ここまでは同じだとします。
ここで、プロダクトアウトの企業は「では、いまよりももっとデザインを重視した、もしくは加速力を上げた車を作ろう!」というように、自分たちの作っているものを「より性能高く、より革新的に」しようという形になりました。
これは立派な「プロダクトアウト」の概念になります。
プロダクトアウトでは、自社の技術力やポジショニングを基に、よりそれらを活かした製品を開発できるかが重要なポイントです。
プロダクトアウトのメリット
プロダクトアウトのメリットは、以下の3点になります。
1.自社の技術力を最大限活かすことができる
2.誰もが思いつかなかった商品開発でヒットになる可能性がある
3.自社の強みが一貫的なため、無駄なコストがかからない
それぞれ説明していきます。
自社の技術力を最大限活かすことができる
プロダクトアウトの考え方では、「いかに自社の強みを活かして製品開発できるか?」がポイントになります。
そのため、会社として力を入れている技術力を常に最大限発揮した製品開発が可能です。
自社の技術力を活かした例でいうと、シャープの「プラズマクラスター」や「亀山工場」などは、CMなどの広告でも謳われてたほど明確な強みで、プロダクトアウトの成功例とも言えます。
技術力で他者との差別化を図る。これがプロダクトアウトの強みです。
誰もが思いつかなかった商品開発でヒットになる可能性がある
自社で作りたい製品を企画する際、市場に全く存在しない製品を開発しようという場合もあります。
これが実際に実現し、人々の需要を満たした場合、大ヒットになる可能性があります。
その大きな例が「iPhone」です。
かの有名なApple創設者であるスティーブ・ジョブズが、長年構想していた「コンピューター+電話+モバイル」をついに実現しました。
誰もが思いつかなかった革新的なデザインと機能性。そして、それまで普及していた携帯電話で課題になっていたポイントを見事に解決した、当時販売されていた製品のどれよりも最高傑作だったことは明らかです。
いまでもiPhoneは世界的なシェアを大きく占めており、なくてはならない存在になりました。
このように、自社の方向性と技術力を最大限活かし、世の中に新しい製品を生み出すことは、大ヒットにつながる可能性を秘めています。
自社の強みが一貫的なため、無駄なコストがかからない
プロダクトアウトの場合、自社が力を入れるべきポイントが一貫的なため、新たな部門の立ち上げやマーケット調査などに要するコストがかかりません。
これは「自社の技術力」を1つの製品を開発するためだけでなく、毎回にそのリソースを利用し製品開発を進めていくため、いままで蓄積されたノウハウがより活かされ、無駄な動きをせずに済むということです。
すでにヒット商品を持っていたり、ある程度市場で受け入れられてる企業は、プロダクトアウト優先で開発を進めることで利益を最大限上げることができるかもしれません。
プロダクトアウトのデメリット
プロダクトアウトのデメリットは、以下の3点になります。
1.市場のニーズを満たせない
2.売れないリスクが高い
3.会社全体の開発方針に問題が出てくる
それぞれ説明していきます。
市場のニーズを満たせない
プロダクトアウトの場合、マーケットインと比べて単純にユーザーのニーズを把握していません。
そのため、作った製品がユーザーが求めるものと異なっており、売れないという結果をもたらす場合もあります。
開発力があるからといって性能ばかりを高め、実際にユーザーが求めているものからズレた商品を開発し続けた企業も存在します。
ある程度、市場の需要ともズレないように、自社の製品とユーザーニーズの相関についての調査を定期的に行うことで、このズレを解消できるかもしれません。
売れないリスクが高い
市場のニーズを満たせなければ、売り上げも見込めません。ということは、売れないリスクもマーケットインに比べたら高まります。
製品開発に資金や時間を要さないジャンルであればまだ良いですが、1つに対して膨大な資金や時間を要する製品開発の場合、なかなかのリスクをとることになります。
ただし、世の中に存在しない大ヒット商品を狙っている場合などは、外部へ開発状況を漏らすこともできませんので、この辺のバランスがとても重要になります。
会社全体の開発方針に問題が出てくる
プロダクトアウトの考えで、自社で作っている製品がなかなか売れない場合は、そもそも自社の方向性に問題があるかもしれません。
その場合、一つの製品開発だけではなく、会社全体について見直しが必要となり、莫大な時間とコストを要することになります。
「そもそも自社が存在する意義は何なのか?」「自社の強みは何なのか?」「自社の製品はユーザーにどんな点で選ばれてるのか?」
今一度、会社について見つめ直す機会なのかもしれません。
まとめ
「マーケットイン」と「プロダクトアウト」については理解できましたでしょうか?
「マーケットイン」と「プロダクトアウト」のどちらを選択すべきかは、それぞれの分野や企業のポジショニングによって変わってきます。
ここからは個人的な見解ですが・・・
これから業界に挑戦するベンチャー企業や、ブランド力やポジショニングが定まっていない企業は、はじめ「マーケットイン」で商品開発を行うこと。
すでにヒット商品が存在したり、企業自体がすでに市場から求められている企業は、「プロダクトアウト」優先の商品開発も進めること。
このような形で進めていくことが、マーケティングの定石ではないかと思います。
自社が求めるもの、そして市場が求めるもの、それぞれが一致した時に素晴らしい商品となります。
ぜひ、この「マーケットイン」と「プロダクトアウト」を理解した上で、素晴らしい商品の開発に挑戦してみてはいかがでしょうか。